ある単語が与えられたとき、次にどの単語が来るかを予測するためには、言語モデルがどのように動作するかを理解することが重要です。これを理解するために、極端にシンプルな例を用いて言語モデルが次の単語をどのように予測するかをシミュレーションしてみましょう。今回は、2つの特性、「文脈依存度」と「出現頻度」を用いて考えます。
これら2つの特性は、単語の特性ベクトルを表す要素として用いられます。「文脈依存度」は単語が特定の文脈でどれほど一般的に使用されるかを表し、「出現頻度」は全体的なテキストコーパス中での単語の出現頻度を示します。これらの特性は単語の意味や使われ方を捉えるための特性であり、言語モデルが次の単語を予測する際に重要な役割を果たします。
それでは、「ネコは魚を食べる」という文を考えてみましょう。
以上のように、「文脈依存度」と「出現頻度」を用いて次の単語を予測するシミュレーションを行いました。このように、言語モデルは前の単語や文脈を考慮に入れて次の単語を予測します。ただし、この例はあくまでシミュレーションであり、実際の言語モデルではより多くの特性や高次元の特徴ベクトルが使用されます。
また、このシミュレーションは理論的なものであり、実際の言語モデルは機械学習により大量のテキストデータからパターンを学習し、より複雑な単語の予測を行います。そのため、実際の単語予測の精度は、学習データの質や量、モデルの設計、学習方法などにより大きく影響を受けます。
補足:上記とは別に「猫が最もよく行う行動」という特性を表現する次元を考察してみます。
単語を特性ベクトル(特徴量)で表現することにより、その単語が持つ意味や文脈を定量的に捉えることができます。その中でも、「猫が最もよく行う行動」という次元は、特定の動詞が「猫」に関連する文脈でどの程度頻繁に現れるかを表しています。
具体的には、「ネコはボールを追いかける」という文章における各単語の「猫が最もよく行う行動」への関連度を次のように表すことができます:
これらの特性ベクトルは、言語予測モデルにおいて次に来る単語を予測する際の参照点となります。例えば、「ネコはボールを」という文が与えられたとき、モデルは「追いかける」や「触る」などの、猫が行う可能性のある行動を予測します。そして、「猫が最もよく行う行動」の次元で高い値を持つ単語が予測結果として選ばれる確率が高くなります。
次に、もうひとつ単純化した例を示します。ここで考える3つの特徴ベクトルは「出現頻度」、「前の単語」、「次の単語」です。
「出現頻度」はその単語がテキストデータ全体でどれほど頻繁に出現するかを表しています。例えば、「と」や「は」などの助詞は頻繁に使われるため、出現頻度は高いです。
次に、「前の単語」はその単語の前に来る可能性が高い単語を表しています。例えば、「は」の前には、名詞や代名詞が来やすいです。
最後に、「次の単語」はその単語の次に来る可能性が高い単語を表しています。例えば、「は」の後ろには、動詞や形容詞が来やすいです。
それぞれの特性が具体的にどのようなベクトルになるかを理解するためには、各特性が高次元空間の一部を形成し、その一部が各単語のベクトルに投影されると考えると良いでしょう。各単語のベクトルは、その単語が持つ特性(出現頻度、前の単語、次の単語)によってその位置が決まります。
たとえば、「出現頻度」が高い単語は「出現頻度」軸に沿って高い位置に配置され、「前の単語」が「猫」である単語は、「前の単語」軸上で「猫」に近い位置に配置されます。そして、「次の単語」が「走る」である単語は、「次の単語」軸上で「走る」に近い位置に配置されます。
このようにして、各単語のベクトルはその単語が持つ特性に基づいて高次元空間内に配置され、その配置(つまりベクトル)によって次の単語が予測されます。
ただし、この説明は大変単純化されたもので、実際の言語モデルではもっと複雑な特性や多次元の特徴ベクトルが使用されます。また、「前の単語」や「次の単語」の特性は、具体的な単語を直接エンコードするのではなく、その単語が持つある種の「関連性」や「パターン」をエンコードするものと考えると理解が深まるかもしれません。