GPT-2やGPT-3などのトランスフォーマー型モデルを理解し、その出力の確率分布を制御するためのパラメータについて解説します。
ソフトマックス関数はニューラルネットワークの出力を確率分布に変換します。このとき、Temperatureというパラメータを使用して、確率分布の「シャープさ」や「確信度」を調整することが可能です。
具体的な例を見てみましょう。以下のようなlogits(モデルの生の出力)があったとします。
logits = [2.0, 1.0, 0.1]
これらのlogitsをソフトマックス関数に通すと確率分布が得られます。まずはTemperature=1.0(デフォルト値)で計算してみましょう。
probs = softmax(logits/1.0) = [0.659001, 0.242433, 0.098566]
この結果から、モデルは最初の選択肢を選ぶ確率が最も高いと判断しています。次に、Temperatureを2.0にしてみましょう。
probs = softmax(logits/2.0) = [0.475367, 0.338250, 0.186382]
Temperatureを上げると、各選択肢の確率が均一に近づきます。最初の選択肢を選ぶ確率は下がり、他の選択肢を選ぶ確率は上がります。一方、Temperatureを0.5にしてみましょう。
probs = softmax(logits/0.5) = [0.806532, 0.165195, 0.028273]
Temperatureを下げると、最初の選択肢を選ぶ確率が大きく上がり、他の選択肢を選ぶ確率は大きく下がります。つまり、Temperatureが小さいほどモデルの出力は「確信」を持っていますし、Temperatureが大きいほど出力は「不確か」になります。
これがTemperatureパラメータがモデルのランダム性を制御する方法です。大きなTemperatureは確率分布を「柔らかく」(選択肢間の確率が均一に近い)し、小さなTemperatureは確率分布を「硬く」(一部の選択肢に確率が集中)します。
このように、Temperatureパラメータを変更することで、モデルの確率分布の特性を柔軟に調整することが可能です。これは、例えば、テキスト生成タスクにおいて、生成されるテキストの多様性と一貫性の間のバランスを調整するのに非常に便利です。
ソフトマックス関数は、機械学習や深層学習の中で頻繁に出てくる重要な概念です。これは、任意の実数からなるベクトルを取り、それを正の値を持ち、その合計が1になる確率分布に変換します。この記事では、ソフトマックス関数の詳細について説明します。
ソフトマックス関数は以下の数式で表されます。
softmax(Z_j) = e^Z_j / ΣK_k=1 e^Z_k
この数式における各シンボルの意味は次の通りです:
Z_j
: 入力ベクトルのj番目の要素(あるいはlogit)Z
: 入力ベクトルj
: 入力ベクトルの要素のインデックスK
: 入力ベクトルの要素数(あるいはクラス数)e
: 自然対数の底(約2.71828)この数式を用いて、各Z_j
の指数を取り、それを全Z
の指数の和で割ることで、各Z_j
の「ソフトマックス確率」が計算されます。これにより、任意の実数からなる入力ベクトルが、確率分布に変換されます。
具体的な例で考えてみましょう。Z=[2.0, 1.0, 0.1]
というlogitsがある場合、これをソフトマックス関数に通すと、以下のような確率分布が得られます。
P(Z_1) = e^2.0 / (e^2.0 + e^1.0 + e^0.1) ≈ 0.659
P(Z_2) = e^1.0 / (e^2.0 + e^1.0 + e^0.1) ≈ 0.242
P(Z_3) = e^0.1 / (e^2.0 + e^1.0 + e^0.1) ≈ 0.099
つまり、このソフトマックス関数を通過すると、各要素はその要素が選ばれる確率を示すようになります。そして、これらの確率は合計すると1になるため、確率分布としての性質を持つようになります。
ソフトマックス関数は、特に多クラス分類問題において出力層で使われます。これは、モデルの予測が各クラスに対する確率として解釈できるようにするためです。この確率的な解釈は、モデルの出力を理解したり、不確実性を扱ったりする際に非常に有用です。
以上のように、ソフトマックス関数は任意の実数からなるベクトルを取り、それを確率分布に変換する強力なツールです。これにより、モデルの出力が確率的な解釈を可能にし、不確実性を扱うことができます。深層学習や機械学習の分野で広く利用されています。