Transformerモデルにおけるエンベッディングと出力のパラメータ(重み)共有

今日は、Transformerベースのモデル(例えばGPTやBERT)におけるパラメータ(重み)の共有について詳しく解説します。特に、「エンベッディングの重みが最終的な線形レイヤーと共有される」という特性に焦点を当てます。これはモデルの効率性と性能を大きく向上させる重要な特徴です。 まず初めに、何を意味するか理解するために「エンベッディング」と「最終的な線形レイヤー」について解説します。 エンベッディングとは何か エンベッディングとは、入力データ(この場合はテキストの各単語または単語の一部)を高次元空間にマッピングすることです。これにより、テキストデータをモデルが理解しやすい数値の形に変換します。このエンベッディングの過程で、単語間の類似性や関連性が捉えられ、それがモデルの理解と予測に役立ちます。 最終的な線形レイヤーとは何か 最終的な線形レイヤーはモデルの出力部分を指し、モデルが問題を解くために最終的に行う計算を表します。例えば、テキスト生成タスクでは、最終的な線形レイヤーは各可能性のある次の単語の確率を計算します。 エンベッディングと最終的な線形レイヤーのパラメータ共有 それでは、なぜエンベッディングレイヤーの重みが最終的な線形レイヤーと共有されるのでしょうか。その理由の一つは効率性です。重みを共有することで、学習すべきパラメータの総数が減り、モデルの学習が早くなり、また、必要なメモリも減少します。また、エンベッディングと出力の間に対称性があると仮定することで、モデルの学習が容易になります。 具体的な例を挙げてみましょう。あるモデルが英語のテキストを扱っていて、「dog」や「cat」などの単語をエンベッディングしているとします。モデルが「dog」に対してある特定のエンベッディングを学習したとき、そのエンベッディングは「dog」という単語の意味を捉えています。そして、そのエンベッディングは、最終的な出力レイヤーで「dog」を予測するのにも使用されます。つまり、入力と出力の間で「dog」の表現が共有されるのです。 このように、Transformerベースのモデルでは、入力と出力の間で重みの共有が行われます。これにより、効率性と性能が向上し、テキスト生成やテキスト理解タスクにおいて優れた結果を得られます。